モーリー・ロバートソン

文春文庫「USA語録2」、実体験と共に解説。

“アメリカで話題の言葉は、面白くて怖い!
言葉を制す者はアメリカを制す。トロフィー・ワイフ、フォトボム、プライム・エアー。次々に生まれる新語は、現代アメリカの縮図だ。”

10月7日に発売された町山智浩氏の「アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き〜USA語録2〜」にモーリー・ロバートソンが解説をしました。

モーリーの好きな英語のフレーズは、
「When the going gets tough, the tough get going.」
「状況が苦しくなったとき、本当に凄いヤツだけが行き残る。」

モーリー・ロバートソン
モーリー・ロバートソン

“最初のgoingは、状況とか、境遇とか、時代の流れ。つまり、真にタフな人間は、厳しい状況に置かれたときにこそスイッチが入る。望むところだ、と闘志が湧く。 これは英語の一般的な慣用句で、イメージとしては、ジョック(jock=体育会系)が来ているTシャツにでっかく書かれているかんじ(笑)。たとえば薬物で逮捕された芸能人。ベンチャービジネスで失敗し、破産した男。日本だと、一度そういう大失敗を犯した人物は、なかなか再び浮かぶ瀬がないでしょう。ひたすら謝って二度と人前には出ない。あるいは腹を切る。

アメリカはちょっと違う。一度どん底に落ちた人物が、「俺は今日から変わるんだ!」と立ち上がる――たとえば借金して起業して、やがて巨万の富を得る。別に経済的な成功じゃなくてもいい。英雄的なふるまいで誰かの命を救うとかね。 アメリカでは、そういう人はすごく偉い。失敗しても倍返しした男。クズのような行いをして塀の中に入っても、再起してセカンドチャンスをものにした女。彼や彼女に、大喝采を浴びせるんです。

モーリー・ロバートソン
モーリー・ロバートソン

つまり、困難な中で頑張れるヤツこそがアメリカのヒーローなんです。たとえその困難が身から出たサビであっても、それを跳ね返すだけのことをやり切ったんなら偉いじゃないか。

ある意味でいえば、オバマもそうですよね。黒人の社会参加が容易ではなかった時代に少年期を過ごした彼は、裕福ではあっても、エスタブリッシュメントの階段を歩むには有利ではなかった。でも、地域振興事業で実績を挙げ、弁護士になり、州議会議員、上院議員、大統領。自分の才能を呼び起こし、破竹の勢いで頂点まで駆け上がった。その成功物語は、誰もが認めざるを得ない。文句なしにすごい人物。

僕は25年間日本で仕事をしてきて、この先も日本と付き合っていきたいと思っていますが、唯一寂しいのは、ダメな人ががんばる、そして再起した人を讃える、という文化が希薄なところですね。ダメな人はとことんダメになってしまうか、ひたすらお詫びして逃げ切ってしまうか、あるいは弱者は守られて当然と、弱者の開き直りを通してしまうか。

モーリー・ロバートソン
モーリー・ロバートソン

だからもう少し、セカンドチャンスを歓迎する社会になってほしい、という思いはあります。アメリカには、それがある。 町山さんも、そこに、アメリカ生活のいちばんの爽快さを感じているんじゃないかな。彼の書くものを読んで、そう思います。”
− 文春文庫「アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き〜USA語録2〜」より

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