「“極右枢軸”が世界を覆う恐れ」とは?

『週刊プレイボーイ』の週プレニュースで「モーリー・ロバートソンの挑発的ニッポン革命計画」を連載中モーリー、次期大統領ドナルド・トランプの権力にすり寄り、大衆の情念を権力の源泉とする“極右枢軸”が世界を覆う恐れについて語る。

集英社「週刊プレイボーイ」週プレニュース
2017年1月11日アップ

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「トランプに期待した人たちは裏切りをジワジワ実感していく。その結果、世界でのアメリカの依存感は…」
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2017年1月20日に就任する第45代アメリカ大統領は、どこまで権力を振り回すことになるのでしょうか。
12月6日、ドナルド・トランプ次期大統領は、アメリカに総額500億ドルの投資と5万人の雇用を創出するプランを手土産にニューヨークのトランプ・タワーを訪れたソフトバンクグループの孫正義(そん・まさよし)社長と会談。集まった記者団に「マサは素晴らしい人物だ」とご満悦で話し、同社関連の株価も一時、急騰しました。

また同じ日には、社長がトランプの経済政策を懸念する発言をしたボーイング社を批判。新たに開発が予定されている大統領専用機「エアフォースワン」の注文をキャンセルするという脅しのツイートを流しました。すり寄れば“褒美”を与え、気に食わない相手は問答無用で切り捨てる。まるでガキ大将です。
一方で、トランプ自身が選挙戦でぶち上げた公約を見ると、率直に言ってその多くは実現性に乏しい。就任後は“現実的判断”を強いられ、方針転換するケースが増えるでしょう。特に、トランプの支持基盤である貧しい労働者層の経済状況を向上させられるとは思えず、彼に期待した人たちは「裏切り」をじわじわ実感していくことになりそうです。

トランプは彼らの怒りの矛先をそらすために、さまざまな“花火”を打ち上げるしかない。選挙戦同様、ムスリムや不法移民、中国やイランなど、国内外のスケープゴートに人々の怒りを向け、血に飢えた大衆の情念を権力の源泉とするような手法を取り続けるでしょう。
ただし当然、それはサステナブルなエコシステムではありません。例えば外交面では、すでに中国に対して強硬な発言が目立ちますが、現在のグローバル社会で中国のマーケットを無視し続けることなどできるはずがない。言うだけ言って、結局は金の力に屈服する…というシナリオが予想されます。

こうした軽はずみな発言と、それをしれっと撤回することを繰り返すと、どうなるでしょうか? そう、トランプ個人というより、アメリカの国際舞台における存在感が損なわれていくことになるのです。

外交的には孤立主義傾向が強いといわれるトランプですが、約100年前のアメリカの孤立主義とは中身がまったく違います。あの当時は、欧州のドロドロした政治に巻き込まれないために、ある意味で「気高くあろうとした結果」の孤立。しかし、トランプのそれは「見放された結果」としての孤立になるでしょう。
では、そんなトランプにすり寄ってくるのは誰でしょうか?

数ヵ月前に本コラムで予言したとおり、イギリス独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージュ党首やフランス国民戦線(FN)のマリーヌ・ル・ペン党首など、欧州の極右政党のリーダーたちはトランプの力を利用する気満々です。

そんななか、トランプ政権の首席戦略官・上級顧問に内定したスティーブン・バノン氏が会長を務めていた極右メディア『ブライトバート・ニュース』は、イギリスとイスラエルに続いてフランスやドイツにも支局を開設。トランプ旋風を生んだ“ビジネスモデル”を輸出し、欧州の火種に油を注ぐ準備を進めています。2017年は各地の右派ポピュリストたちが“枢軸”を結成する年になるのかもしれません。
– 全文、集英社より